お子様のケガについて

お子様のケガについて

子供の時期の病気・ケガはそれからの成長と発達に大きく影響します。12歳までの小児期にしか無い病気・損傷が大人になった時に後遺症を引き起こすこともございます。先天性疾患・代謝性疾患に加えて、骨・筋肉・神経の発達と成長をも理解した上での治療が必要となって参ります。

 

【疾  患】 | 先天性股関節脱臼 | O脚 | X脚 | 内反足 | 頚部痛 | 腰痛 | 股関節痛 | 成長痛 | 小児期のスポーツ障害 |

 

先天性股関節脱臼

小児整形外科の最も代表的疾患で、約1000出生に1人くらいの頻度で見られます。女児に圧倒的に多いことが特徴で、原因としてホルモンの関係や遺伝の関与、子宮内環境や出生後の因子などが考えられていますが、まだよくわかっていないことが多いです。原因が単一ではなくいろいろな要素が複合して発症するのは間違いないようです。

先天性股関節脱臼の程度には大変個人差が大きく、軽症例から重症例まで存在します。
従って決してこれらを同じように扱うことはできません。当院では、先天性股関節脱臼を程度によって分類し、タイプごとの治療方針を決めて治療を行います。程度の軽い脱臼には簡便な治療法を(場合によっては経過観察のみ)、重症の脱臼には連携医療機関での入院を含めた治療を行って参ります。

O  脚

O脚とは子どもの両側のかかとをつけて立たせ、正面から見て両膝の間が開いている状態で、英語のОに似ていることからこう呼ばれています。

病因、発生機序は子宮内の胎位が大きく関与しているといわれています。満期産の場合には、産まれる前は下腿が内反、内捻した肢位にあります。この下腿の内反が主原因です。
生理的なO脚は歩行を開始するころに目立ってきて来院することが多いのですが、歩くことによって骨には外ねじれの力が加わりますので、徐々に3歳に向かって改善していくのが自然の経過です。従って基本的には治療は必要ありません。しかし2歳を過ぎても全く改善傾向が見られない場合には、装具療法が必要なことがまれにあります。

X  脚

X脚とは子どもの両側のひざをつけて立たせ(重ねない)、正面から見て両側のかかとの間が開いている状態をいいます。

英語のXに似ていることからこう呼ばれています。病因、発生機序については関節のゆるみを主原因とする考え方がありますが、明確なものではありません。生理的なX脚は3~5歳を中心に見られ、7歳ごろには自然に改善するのがほとんどです。基本的に治療は必要ありません。ひざの内側側副靭(じん)帯のゆるみをこれ以上悪くしないよう、程度が強い場合には内側を高くした足底板を使用することもあります。

内 反 足

先天性内反足は生まれつき足の形の変形が明らかですので、通常は生まれた直後に診断されます。発生頻度は0.1%以下といわれていますので、1000出生に1人以下の稀な疾患といえるでしょう。

内反足には足の変形以外に異常がない狭義の内反足と、神経疾患や骨系統疾患などの疾患の一徴候としておこる症候性の内反足に大きく分れます。一般的に症候性内反足は難治例が多く、治療にたいする考え方が異なります。内反足は外表から明らかにわかる疾患ですので、生後すぐに診断されることがほとんどです。一般的にはなるべく早く治療を始めることをお勧めしております。

 

頚部痛

頚を捻ったあと痛がって、頭を傾けたまま動かせなくなることがあります。(斜頚位)
大人の寝違いの様に筋肉が原因のこともありますが、環軸椎回旋位固定といって頚の骨の脱臼のことがあります。子供は靱帯が弱いため軽微な外力でも脱臼を起こすことがあり、無理に動かそうとしないでレントゲン検査が必要です。

腰  痛

スポーツを頑張っている子供の腰痛では、腰椎分離症に注意が必要です。
分離症は腰椎の上下関節突起間部に外力が持続して加わることによって起こる疲労骨折と考えられています。12~17歳に多く、骨折と言ってもその症状は様々で、腰部の不快感程度に軽いことも多いため注意が必要です。レントゲンで分離の有無を検査しギブスまたは硬性コルセットで固定して骨癒合を待ちます。

股関節痛

風邪をひいて熱を出した数日後や、飛んだり跳ねたりして遊んだ数日後に股関節を痛がり、時には歩行も困難になることがあります。
股関節の動きが悪くなり、曲げたり、開いたりすると痛がります。レントゲンで大腿骨の頭の形に異常がないかを調べます。レントゲンで問題なく、安静にすることで5日~1週間程で痛みがなくなり、関節の動きも良くなる場合を、単純性股関節炎と診断します。

ただし子供の場合、神経が十分に発達していませんから、股関節が原因でも膝を痛がったりすることがありますので注意が必要です。安静にしていても痛みが良くならない場合は、ペルテス病といって大腿骨の頭の部分に血が行かなくなるために骨が変形する病気も考えなくてはなりません。熱が出る場合は股関節に細菌が感染し膿が溜まる化膿性股関節炎です。

成 長 痛

2~6歳に多いとされていますが学童期にもみられる下肢の痛みです。夕方~夜に、主に膝の周りを痛がり泣いて、さすったりしていると落ち着きます。朝にはまったく痛みを訴えず元気に遊べます。夜中に急に泣いて起きることもあります。痛みの原因はよくわかっていません。痛みが右や左と様々で夜間のみであれば、安心しても良いでしょう。ただし小児期では骨腫傷などもありますので、昼間も痛がる場合には注意が必要です。

小児期のスポーツ障害

1. オスグットシュラッター病

膝正面のお皿(膝蓋骨)の下が突出して痛みます。ジャンプや蹴る動作の連続によって起こる成長期の障害のひとつです。治療はオスグットバンドの装着や大腿四頭筋のストレッチを行います。

2. 踵骨骨端症

学童期のサッカーやバスケット、野球など走るスポーツをしている子供に起こる踵の痛みです。当初はスポーツの時だけの痛みですが、ひどくなると歩くときにも痛がるようになり、びっこをひくこともあります。踵の成長線にかかる過度の負荷が原因と考えられており、治療は患部へのレーザー照射やアキレス腱のストレッチを行います。踵への衝撃を緩和するために、クッションの良いインソールを使うことも有効です。

当院では、お子様のケガや先天性疾患に幅広く対応しておりますので、お子様の身体で気になることがおありの親御様は、どうぞお気軽にご相談下さい。