骨粗しょう症とは、加齢によって骨のカルシウム量などが減少し、骨が非常にもろい状態となり骨折しやすくなる病気です。
骨が完成されると常に同じ状態と思われがちですが、じつは人の肌と同じように、壊れて[骨吸収]そして作られて[骨形成]を繰り返す“新陳代謝”[リモデリング]が行われているのです。この骨が作られる働き[骨形成]が壊れる働き[骨吸収]に追いつかなくなることで骨粗しょう症になるのです。
骨粗しょう症の代表的な症状は、骨折とそれによる痛みです。そのため骨折するまで骨粗しょう症であることに気付かない患者さんがほとんどです。
代表的な骨折の部位としては太ももの付け根・手首・腰で、その多くは転んで強く地面に打つことで起こります。骨粗しょう症による骨折は寝たきりになる原因の第2位となっています。またある調査によれば、骨粗しょう症で太ももの付け根の骨折(大腿骨頚部骨折)を起こした人の5年生存率は50%というデータがあり、大変深刻な病気です。
運動や食事は骨粗しょう症の予防には欠かせませんが、一番はお薬による治療になります。骨粗しょう症のお薬は、作用によって次の4種類に分けられます。
カルシウム(骨量の維持、増加を助ける)、ビタミンD(カルシウムの吸収を助ける)、ビタミンK(骨に必要なたんぱく質をつくる)など骨に必要不可欠な栄養素をなるべく採りましょう。他にマグネシウム、ビタミンC、ビタミンBなども必要な栄養素です。
カルシウムの1日の摂取目標量は800mg以上です。牛乳100gでカルシウム約100mgなので、乳製品が苦手な人には結構な量と思われがちですが、豆腐や納豆などの大豆製品にもたくさん含まれているので、それらをバランス良く摂るようにしましょう。
運動により骨に荷重がかかり骨密度の低下を防ぐことができます。また筋力がつきバランスも養われるので転倒を防ぐことができ、骨折のリスクを軽減します。運動が苦手な人も、歩いて近所へ買い物に行ったりエレベータをやめて階段にするなど、今より少し運動量を増やすことから始めましょう。
また、日光浴によって皮膚でビタミンDが作られます。ビタミンDは腸管からのカルシウムの吸収を促進させ、かつカルシウムの骨へ吸収を促進させます。しかし、過量な紫外線は皮膚がんの発生リスクを高めますので、夏は木陰で30分、冬は手や顔に1時間程度で十分です。 高血圧や糖尿病、心臓疾患等の既往のある方は、ご自身に最適な運動を医師・専門家の指示の下行ってください。
骨粗しょう症が心配される年齢になれば、積極的に検査を受け治療することで、将来の寝たきり予防になります。またそれにより、骨折の心配のない健康な体を手に入れ、いつまでも心身ともに充実した生活を送ることが、骨粗しょう症治療の最大の目標となるのです。
骨粗しょう症が心配な方、気になる方は、どうぞお気軽にご相談下さい。